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LEAVES COFFEE ROASTERS 石井康雄インタビュー|The Roaster’s Coffee Life

コーヒーの世界に欠かせない存在のひとつがロースター。豆の味もさることながら、ロースターも個性豊かな方々ばかり。PostCoffeeでは、奥深いコーヒーの世界を楽しんでもらうべく、国内外の様々なロースターパートナーから取り寄せたコーヒーを販売しています。この企画では、ロースターパートナーの皆さんのコーヒーライフに迫るインタビューを実施。今回はLEAVES COFFEE ROASTERSの石井さんにお話を伺いました。

東京の下町蔵前、隅田川を挟みコーヒースタンドとロースタリーを構えるのが「LEAVES COFFEE ROASTERS」。住宅街の中に突然現れる洗練されたロースタリーで、コーヒーを淹れながら我々を迎えてくれたのは代表の石井康雄さん。

石井さんが「LEAVES COFFEE ROASTERS」をオープンしたのは2019年のことだ。現在は、6名のメンバーと一緒に蔵前の町から世界へと、こだわりのコーヒーを届けるべく、日々焙煎士・経営者として奮闘している。そんな彼はどのようにコーヒーの道へと歩むことになったのだろうか。

「コーヒーショップを始める前は、レストランを7店舗を運営していました。レストランをオープンしたときに、たまたま友人からお土産でもらったスペシャルティコーヒーを気に入って、自分で抽出をし、レストランにもカフェを併設しました」

偶然出会った、スペシャルティコーヒーの魅力に引き寄せられ、自身で抽出をするようになった石井さんは瞬く間に焙煎まで自身で手がけるようになった。焙煎を始めるようになったきっかけは「言い訳をしたくないから」だと語る。

「抽出をしていくうちに、自分だったらもっとこういう味を出したいという思いを巡らせるようになりました。それと同時に、誰かが焼いた豆を仕入れても美味しく淹れられない、と焙煎のせいにするようになってしまった自分がいることにも気づきました。それならば、焼くところから自分で全部やろうと決め、焙煎もするようになりました」

多くの場合、コーヒー業界で働く人々はカフェやコーヒーショップに勤めながら、バリスタ、焙煎士とステップアップしていく。しかし、石井さんの場合は初めから独学でコーヒーを学んでいるという。

「僕はコーヒー屋さんに勤めたことがないから、先生がいません。全て独学で、レストラン時代に培ってきた舌だけを信じて今まで来ています。何でも自分で直接体験しないと信じられないんですよね。だからコーヒーの勉強をするときには、国内外問わず好きなコーヒー屋さんを見つけたらSNSやメールでメッセージを送ったり、実際に焙煎所を訪ねて勉強させてもらっていました」

例えば、アメリカのコーヒーの聖地と呼ばれるポートランドのコーヒーショップ「Heart Coffee Roasters」のコーヒーを気に入って現地へ向かったことも。すぐに行動へと向かうところにコーヒーへの情熱を感じる。そんな彼が名付けた店名「LEAVES COFFEE ROASTERS」にも、石井さんの哲学が込められていた。

「LEAVESって直訳すると枯葉を表しますが、僕らはそれは枯葉ではなくて「再生」「育ち」「成長」を意味するものだと考えています。葉っぱっが枯れて落ちて、また新しい芽がついて、その時にはもう少し木は大きくなって、幹も少しずつ大きくなっていきますよね。そんな木のように、根っこの部分は変わらずに、葉っぱのように古い情報を捨てながら新しい情報や技術には常にアンテナを張る。いつも最前線にいたいと思って名付けた名前です」

LEAVES COFFEE ROASTERSのロースタリーとショップで飲むことのできるコーヒーは全て石井さんが焼いたものだ。彼のコーヒーは甘さと香りのバランスがよく、「綺麗」という表現がよく似合う。焙煎の技術はもちろんのこと、素材選びを第一に考えているのだとか。

「僕が1番こだわっているのは素材です。抽出で焙煎を超えることはできないし、焙煎で生豆を超えることはできないんです。なので、素材の見極めを大切にしています。味としては、産地特性がはっきりとしていて、ユニークで、クリーンなコーヒーを選んでいます。焙煎ではそれらの素材を生かしながら、甘さと香り両方をとるような焙煎を目指しています。コーヒーのことをもっと知りたいという気持ちもあり、今は農園にも関心があります」

独学で、自身の感覚を信じながらコーヒーの道を極めてきたという石井さん。インタビューの間も、その鋭い感覚を言葉の節々から感じられた。コーヒーの仕事は舌だけではなく、目や耳、全身の感覚を使う仕事だ。その鋭い感覚を支えるライフスタイルのこだわりについても教えてくれた。

「コーヒーと気持ちよく向き合うために、シンプルですが健康をすごく意識しています。実は3年間、グルテンフリーで生活しているんですよね。もともとはピザ、ラーメン、ハンバーガーとか大好きだったんですけど、テニス選手のジョコビッチさんの本に影響されて始めたらいつの間にか3年です(笑)。他には、最近はフレキシタリアンにも挑戦しています。完全にお肉を食べないわけではないのですが、1人だけの時は菜食主義にしています。いずれはお店でも牛乳を使うのはやめようかなと検討中でもあります」

グルテンフリーや菜食主義といった食生活は、味覚や嗅覚を鋭くするだけではなく、コーヒーの育つ環境、地球環境を考えたものでもある。「コーヒーに生かされている」と語るように、今の石井さんの行動の背景には強くコーヒーの存在があるようだ。

「僕は多分コーヒーに夢中なんですよね。LIKE、LOVE、色々な「好き」があるけれど、夢中には勝てないんだと思います。そして夢中になると継続できるんです。何か困ったことがあっても、ブレークスルーが見えるまでやり続けられる。だから僕は、コーヒーでまだ見ぬ景色を見るために進み続けたいなと思っています」

「街のロースタリーから世界へ」、LEAVES COFFEE ROASTERのコンセプトだ。お客さんの多くが常連であり、街に馴染んだコーヒー屋さんでありながらも味は世界レベルに挑戦する。石井さんの夢中は、蔵前の街から世界へと広がり始めようとしている。

石井 康雄 Yasuo Ishii
東京は東エリア江東区深川生まれの元プロボクサー。10代の頃からから20年に渡る飲食業のキャリアをもち2010年にスペシャルティーコーヒーに出会う。数々の飲食店経験を得て計7店舗を経営し、2019年「町のロースタリーから世界へ」というコンセプトをかかげLEAVES COFFEE ROASTERSとして焙煎業をスタート。独学で学んだバリスタと焙煎で独自のスタイルを確立させた。焙煎開始初年度のJRC(ジャパンローストコンペディシャン)では東京エリアでは1位、全国では3位の成績を収める。自身の焙煎スタイルを「Light roast high development」と名付け素材のポテンシャルを最大限に引き出した焙煎を得意とする。焙煎士として世界一を目指すべく、邁進中。

LEAVES COFFEE ROASTER
〒130-0004 東京都墨田区本所1-8-8 
TEL:03-5637-8718
Web:https://leavescoffee.jp
Instagram:https://www.instagram.com/leaves_coffee_roasters

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Designer | Web / Graphic / Movieなどクリエイティブデザインに関わることをやっています。 趣味が高じてアウトドアファッションのWebメディア運営やコワーキングコーヒースタンドMAKERS COFFEEの運営もしていました。 ストリートカルチャー、アメリカ西海岸の雰囲気が好き。