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Life Size Cribe 吉田一毅インタビュー|The Roaster’s Coffee Life

コーヒーの世界に欠かせない存在のひとつがロースター。豆の味もさることながら、ロースターも個性豊かな方々ばかり。PostCoffeeでは、奥深いコーヒーの世界を楽しんでもらうべく、国内外の様々なロースターパートナーから取り寄せたコーヒーを販売しています。この企画では、ロースターパートナーの皆さんのコーヒーライフに迫るインタビューを実施。今回はLife Size Cribe(ライフサイズクライブ)の吉田さんにお話を伺いました。

都心から少し離れたベッドタウン、国分寺。家族連れや学生、多くの人々で賑わうこの街にお店を構えるのがLife Size Cribeだ。駅から約3分の路地裏に佇むその店舗は、開け放たれた扉から音楽が流れ出す、思わず長居したくなるようなコーヒーショップだ。

代表を務めるのは吉田一毅さん。大学卒業以来、コーヒーマンとしてコーヒー業界で活躍し続けている。彼が、Life Size Cribeをオープンするまでにはどんな道のりがあったのだろうか。そしてLife Size Cribeに込めた想いとは?

「大学を卒業してから、僕はずっとコーヒーマンです。新卒ではドトールコーヒーに入社しました。初めは別の業界に興味があったのですが、友人の「(吉田さんは)コーヒー好きだし、コーヒー業界も挑戦してみれば?」という何気ない一言から、コーヒー業界を就職先として考え始めました。それに、学生時代には僕自身ダンスをやっていて、ダンスや音楽などといったカルチャーの仲間がすごく多いんです。そんな仲間たちが集まれるダイニングバーをいつか作りたい、そんな思いもあり、カフェチェーンで働くことになりました」

仲間の集まる場づくりというきっかけから、何気なくコーヒー業界へと足を踏み入れるた吉田さん。実際に働き始めてみると、みるみるうちにコーヒー業界で「職人」として働くことへの憧れの気持ちが高まっていったという。

「僕がコーヒーの仕事に深く立ち入るになったきっかけが「バリスタ」という言葉、仕事でした。白のドレスシャツの襟を立てて、長いサロンをバシッと決めたバリスタが、マシンをかっこよくいじっている、そんな姿をドトールコーヒーの仕事の中で目にして、一瞬で惹かれました。当時、「何者かにならなきゃいけない」みたいな想いが強かったのもあるかもしれませんが、バリスタってかっこいい仕事なんじゃないかと思い始めました」

「バリスタという言葉に妙に執着が生まれた」と語る吉田さん。その後すぐにバリスタになるには、バリスタの仕事とはと検索し続ける日々が始まった。「バリスタ」のキーワードでインターネットで検索しては気になるコーヒーショップに足を運び続けたという。そんな中でも衝撃的な出会いは、当時のバリスタ世界チャンピョンの店、「Paul Bassett」だった。

「Paul Bassettに初めて行った時、エスプレッソを飲みました。当時の僕はエスプレッソといえば、お砂糖を入れて混ぜて飲むものだと思っていていつも通りに飲もうとしたら、「よかったらお砂糖入れないで飲んでみてください」と言われたんです。分かってないなと思いながら、飲んでみると、鳥肌が立つくらい美味しかったんです。ダークチョコレートのような風味がして、それが僕とフルーティなスペシャルティコーヒーとの出会いでした」

衝撃的な出会いをきっかけに、Paul Bassettへと通い詰め、バリスタの技術を盗もうと必死に研究を始めた。そののち、Paul Bassettに入社し、約2年ほどバリスタとしての経験を積んだ。現在も日本のコーヒー業界を牽引するバリスタや焙煎士を多数輩出したPaul Bassettでの日々は、厳しくもあり、誇りの持てる経験だと語ってくれた。修行を積んだ吉田さんは、2015年3月、独立しLife Size Cribeをオープンさせた。自身のお店にはどんな想いが込められているのだろうか。

Life Sizeは、「等身大」っという意味です。背伸びをしたり、自分自身を強く見せたり着飾ったりするよりも、ナチュラルな自分を愛でていきたいという、僕の中の理想です。理想も大事だけれど、それよりも現在進行形で、今の等身大の自分や仲間を大事にしたいなと思っています。Cribeは「crib to live」という言葉から来ていて、直訳すると「生きていくための場所」です。等身大のまま、仲間や大事な人たちが安心して集まることのできる場所にしたいと思い、付けた店名です」

お店のオープンに選んだ地は国分寺だ。吉田さん自身の学生時代のゆかりの地でもあり、さらに、多くの人たちが寝て起きて、暮らしを営むベッドタウンだ。都心部にコーヒーショップが多い中、郊外でのオープンには反対意見もあったという。しかし、正にLife Sizeなニュートラルな状態でお客さんがコーヒーを飲みに来ることができるのは、ベッドタウンならではの魅力だ。

「お客さんとの思い出も数え切れないくらいあります。例えばよく来てくださる老夫婦がいらっしゃったんですけど、旦那さんは寡黙でいつも奥さんと僕がお話ししていました。でもある時、引っ越しがあると言って、奥さんだけでいらしゃったんですよね。そしたら「実はいつも私が話していることは、旦那が聞いてほいいって言ってることなの」と。お引っ越し前、最後にまた二人でいらっしゃった時には、普段全く笑わない旦那さんが笑って「ありがとう」って言ってくださって。お二人の生活の中に、このお店も含まれていたんだなと思うとなんだか感動しました」

国分寺で育った子どもが、お店に通ううちに、気づいたら幼稚園児から小学生に成長していたり、お店で出会った二人がカップルになったりと、人々の暮らしの中に、Life Size Cribeは溶け込んでいる。だからこそ、吉田さんの焼くコーヒーは、飲む人にも無理のない、ニュートラルな味を意識しているという。

「もちろんいろんなコーヒーを試しましたが、僕は極端なことはしないという結論に至りました。浅すぎでもなく、深すぎでもない、普段の生活の中に寄り添うことのできるコーヒーであることを大事にしたいです。注文する時も、ホット、アイス、ブレンドとか難しいことを考えずに注文できるようにしています。そして、うちのお店ではブレンドを推奨しています。シングルオリジンが流行っていますが、ブレンドもブレンドで面白いと思うんです。個性のあるスペシャルティだからこそ、同じブレンドでもスプーンで1杯豆を救うごとに、比率が変わって味わいも変わる。毎日毎日、その微妙な味の違い、一期一会を楽しむのもいいんじゃないかなと思っています」

コーヒーの他にも、バイクや車、カメラに自転車、ダンスと多趣味な吉田さん。好きになるものにはある共通項があった。それは「終わりがない」ことだ。追求心を持って追いかけても掴むことのできないもの、常に変化し続けるものを楽しむことが好きだという。

「コーヒーもそうなんですけど、終わりのないもの、完成しない美学のあるものに惹かれます。計算して手に入れることができる感覚があると、なんでか飽きちゃうんですよね。やっていく中でどんどん変わっていくのが面白いし、これが完璧だと思ってもブレるから、追求しちゃうし、面白い」

吉田さんがブレンドに見つけた面白さに共通した、変化する楽しみやブレる楽しみ方の面白さを語ってくれた。最後に、吉田さんが思う「コーヒーの魅力」について聞いてみた。コーヒーを提供する「職人」として、そしてコーヒー好きの一人として、日々コーヒーに向き合う彼はどんなことを感じているのだろうか。

「ずっと手の届かない好きな人を追いかけているような感じです(笑)。いくら時間やお金をかけても、なかなか思う通りにはいかない、そこが魅力だと思います。答えがないし、理解し切ることのできないものだからこそ、いくら追いかけても飽きないのだと思います。趣味と仕事、あまり境界線なく、ナチュラルなまま、追いかけても分からないコーヒーを追求し続けていくのかなと思います」

「等身大」でありながら、ストイック、吉田さんはそんな印象を感じさせる。「職人」として追求されたコーヒーの味わいを、アットホームな環境で楽しむことのできるのがLife Size Cribeの魅力なのではないだろう。日々、Life Size Cribeで生まれるコーヒーと人々のストーリーを覗きに行ってみてはいかがだろうか。

吉田一毅 Kazuki Yoshida
合同会社CRIBE CEO。Life Size Cribe代表。大学卒業後、大手コーヒーチェーンにてバリスタとしての勤務を経て、「Paul Bassett」で約2年間の経験を積む。2015年より独立し、国分寺にてLife Size Cribをオープン。その後、数々のラテアートコンテストにも入賞。国分寺の地域に根付いた店舗の運営をしながら、開業コンサルやバリスタトレーニング等にも携わる。

LifeSizeCribe 
東京都 国分寺市 本町 3-5-5
TEL:042-359-4644
Instagram:https://www.instagram.com/lifesizecribe/

(Text:Natsu / Photo:Ryo Shimomura)

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Designer | Web / Graphic / Movieなどクリエイティブデザインに関わることをやっています。 趣味が高じてアウトドアファッションのWebメディア運営やコワーキングコーヒースタンドMAKERS COFFEEの運営もしていました。 ストリートカルチャー、アメリカ西海岸の雰囲気が好き。